【映画感想】ロリータの感想・評価・レビュー
おすすめ度 | ★★☆☆☆ |
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ジャンル |
ドラマ ロマンス |
タグ | 中年 少女 ロリータ 年の差 |
【概要】 木漏れ日差す芝生に横たわる少女に、ハンバートは一瞬で魂を奪われた。少女の名はドロレス、12才。彼は大学教授という落ち着いた体面で欲望を覆い隠し、少女に近づいていく。少年の頃、恋人を失った喪失感に苦しむハンバートにとって、少女こそはその傷を癒せる唯一の存在に思えた。やがて少女の母親を利用して義父になり密かな悦びを感じるが、少女は無防備な肢体をさらしてハンバートを誘惑するようになる。モラルを忘れ、甘い堕落に溺れる2人。ハンバートの腕の中でだけ、少女は“ロリータ”になる---。
監督 エイドリアン・ライン |
言わずと知れたナボコフの小説・ロリータの映画化作品。
いわゆるロリータ・コンプレックスの元ネタ。さらにこの作品の元ネタになった小説もあるとかwikiに書いてあったけど、まぁそれは置いとく。
「ロリコンの元ネタくらい見とくか」
と、一時の気の迷いで見たら後悔した。
一人の中年の鬱々とした執着や愛、少女の翻弄される姿を笑える人におすすめ。
決してそこらへんの恋物語として本気に見てはいけない。
個人的には誰一人として感情移入できるキャラクターがいなくて笑った。
【目次】
感想を含めたあらすじ・ストーリー
主人公であるハンバートは文学の大学教授。
このハンバートさん、少年時代に同い年のこれまた可愛い子と恋をしているのだけど、病死している。
別人と結婚したけど続かなかったくらい引きずっていた。
で、居候というか仕事のための同居先で、大家の一人娘ドロレスに出会います。
碧の瞳に金髪をお下げにした白人の少女で、初対面ではスプリンクラーが水を吹く庭でイケメン画集っぽいものを読んでいた。
彼女、ドロレスの愛称が作品タイトルでもあるロリータ。
ハンバートもいい感じの中年異人さんなのだけど、恋をしたシーンの表情が中学生の青い表情表現でとても印象深い。
序盤の笑いどころとか言ってはいけない。
さて作中でも顔がいいとされるハンバートと年頃の少女らしく年上のいい男が好きなロリータは恋に落ちるんですね。
本物の恋だったかとか少女の憧れでそれは恋ではないとか中年のみっともない過去の執着とか、考え出すときりがないけれど。
まぁ二人にとっては母親の目をかいくぐりつつ秘密の逢瀬を重ねるわけです。
とはいえ、エロ同人みたいなことはなく、もう青汁に雨上がりあとの草でも混ぜたんかってくらいに青臭い青春白書みたいな恋ですよ。
そんなことをやりつつ、イケオジなハンバートは母親にもアプローチを掛けられます。
どっちかっていうと私は母親のほうがこのm(略
そしてハンバート、気づいちゃった。
「この母親と結婚すればロリータとも一生一緒にいられるんじゃない??」
一生一緒にいてくれやby三木道三
普通思っても実行しないよね。
結婚しちゃったんだわハンバートさん・・・。
まあ、本気で愛しているのはロリータであって母親の方ではないですから。
適当にあしらいつつ結婚生活を始めます。
夜のご奉仕(もはや欠片も愛がないのでまじで奉仕)をしたくないがために睡眠薬を酒に混ぜて眠らせる始末。
というか母親とロリータに対する接し方違いすぎて草
でもそんな生活も続きません。
ロリータと触れ合いたいのに母親とばかりいちゃつかなければならないストレスフルな生活を愚痴った日記が見つかってしまいます。
・・・まあ、怒るよね。
怒った挙げ句飛び出しますよ。
母親、車に轢かれちゃった\(^o^)/
いや、笑い事じゃないんだけど。
なんというかハンバート(とロリータ)の被害者って感じでいたたまれない。
ここからが結構見ものだったかな。
養女(幼女ではない)として引き取ったハンバートとロリータの関係はなかなか興味深かったです。
ハンバートのロリータに対する愛と大人・父としての立場がごっちゃになって凄まじい束縛を見せます。
生前の母親とは反抗期的なものもあっていい関係ではなかったけれど、ロリータとしてはやはり実父ではない男と暮らすのは嫌。
ていうか見の安全や生活が保証されてる中でのちょっと大人っぽい恋は素敵だけど、それほど知らない男を父として接するのは違う気がする的なロリータ。
しかも束縛ウザイ・・・。
最終的には逃げ出しました。
「ロリータ、家出する」
時は流れてハンバートさん、ロリータに夢中。
執着心衰えず。
出会い、別れ、そして最終章です。
恋はスリル ショック サスペンスとは懐かしの探偵ソングですが、本当にサスペンスになりました。
長い探索の末に見つけたロリータはハンバートと同じ趣味を持った劇作家の男に見初められ、子どもをその見に宿していました。
出会った頃の面影は有りつつも大人になったロリータから
「もう会いたくない」
と言われてしまったハンバート。
「お金をあげるから」
と仲直りを希望しますが、うーん。
で、拳銃持ってとある人物のもとへ――。
いわゆるロリコンとハンバートについて
一般的にロリコンっていうと幼い少女に執着する男のこと。
25歳下のロリータに再び恋をしたってことでロリコンではあるのだけど、ハンバートとの違いは「成長したあとでも好きだったこと」かなって。
もちろん少年時代に恋をしていた少女・アナベルを追いかけていた面もあるのだけど。
それでも幼ければいいって訳でもなかったのね、ハンバート。
一人の少女を成長してからもきちんと恋をした。
それが恋なのか執着なのかは知らん。
この作品、タイトルがロリータなんでロリータ中心なのかと思いきや、ロリータ(を見つめるハンバート)が主役なのです。
- 少年の恋心を忘れないハンバート
- ロリータの振る舞いに一喜一憂するハンバート
- 大人としてのずる賢さを見せるハンバート
- 少女の身勝手さに困惑し、憤るハンバート
- 大人としての責任と恋心を同居させるハンバート
30代も半ばになってさえ恋愛面で成長していない男の様々な姿を見せてくれます。
40にならなければ不惑の境地には立てないのでしょうか。
やはり大人であるハンバートをして堕ちてしまう少女性的魅力を持っていたロリータの恐ろしさが為せる業なのでしょうか。
ロリータのレビュー
原作の詩情を忠実に再現しようとした脚本と映像、そしてエンニオ・モリコーネの美しい音楽にエモーションを揺さぶられます。しかし物語のトーンは原作よりも沈鬱です。ドロレスへの思慕は自らの少年期に憧れた対象へのそれと同じだとハンバートは信じていますが、彼女にサマーキャンプの密かな経験を打ち明けられて、その想いは自覚なきままに変わってしまいます。母親の死を知らされて以来、性愛と庇護を仲立ちとしたハンバートとの共依存に葛藤するドロレスと、それに不安を募らせるハンバートの二人の関係は痛々しく変わり果てて行きます。ドロレスの出奔から数年を経た後の二人の再会では、ドロレスの愛という幻想が破れ、自らの罪に気づいてもまだ幻影を捨て去れないハンバートが哀れです。さらに、甘美な幻想を奪われて復讐に訪れたハンバートに、キルティは下世話な言葉で命を乞いながら彼の幻想を貶めます。それは、どれだけ美しく取り繕おうとも、ドロレスの幸福な思春期をハンバートは欲望のままに奪ったに過ぎないと突き放すようでもあります。映像化できる範囲では原作に忠実にありながら、原作よりも「ニンフェット」というキーワードを後方に下げ、終始ドロレスの冷ややかな視線に晒されるハンバートの罪深い行いを前面に出し、社会の良心に添ったメッセージを潜ませています。
ニンフェット(nymphet)とは、ウラジーミル・ナボコフ著の小説ロリータ(1955)において、主人公のハンバート・ハンバート博士が9歳から14歳の少女を指すとして用いている言葉である[1][2]。
ニンフ (Nymph) を語源とする用語であり、その言葉には性的な意味が込められている。女性の性欲過多、多淫症をニンフォマニア(Nymphomania)と呼ぶが、英語のNymphにはそうした抗いがたい性的魅力を持つものというニュアンスがある。ニンフェットもそうした意味合いを含んでおり、9歳から14歳までの少女をさす語ではあるが、異性を引きつける性的な特徴を (心理学的な要素を含めて) なんら示さない女児には用いられない。ニンフェットはその2倍も何倍も年上の魅せられた者に対してのみ、人間ではなくニンフの本性を現すような乙女である、男性がニンフェットの魔力に屈するには乙女と男との間に年齢差が必要であり、それは10歳(19歳~24歳)以下ではなく、一般的には30歳(39歳~44歳)か40歳(49歳~54歳)で90歳(99歳~104歳)の例もあるとしている。
この年齢差は焦点調節の問題で、内なる目が乗り越えようと興奮する距離であり、倒錯した歓喜の感情をもって認識する対象の問題であるとする。例えば、ハンバートとアナベルの未熟な愛は、子ども同士のもので年齢的に同格であり当時としてはニンフェットでもなんでもなかった。大人なら人生を破壊させるほどの愛を経て成人し、25歳の男性がつきあう相手として16歳の女の子ならかまわなくても12歳の女の子はいけないと気付く、交際した女性も居たがニンフェットには強烈な至福を感じ解剖学的に同じ女性でも両者は全く違うと述べている。29年後の1952年9月(1910年生まれなので41歳か42歳)に思い返せばアナベルが最初のエルフとして見いだせるとしている。
ニンフェットという語は「ロリータ」が初出ではなく、The Century Dictionary (en) に見出しで出ており、 "a little nymph" という意味で、ドレイトン (en) の1612年の詩集ポリ・オルビオン (en) で "Of the nymphets sporting there In Wyrrall, and in Delamere." として見られるのが確認できる。
まとめ
まぁ、そんな感じで。
恋に狂った男の一つ一つは理解できるが、なぜそれをやってしまうのか理解できないとても不気味な気持ちになる不思議なお話です。
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